ピース綾部の怪談「新聞配達」

ピース綾部が新聞配達をしていた友達から聞いた話です。

新聞配達のコースで、角にある古い一軒家に配達して、その家の脇にある路地に入って入り口から3軒目の家に新聞を配達するコースがありました。その角の古い一軒家にはおばあさんが一人で住んでいました。いつも、その一軒家の玄関といっしょになっている配達口に新聞を入れて、20メートルくらいはなれた、路地に入って3件目の新聞を配達していました。3件目の家へ続く道は、行き止まりになっているので、その家に配達して必ず古い1軒屋の前を通るのですが、3軒目を配達して戻ってくると必ず新聞が無くなっていました。

ある時、はじめてそのおばあちゃんの家に集金をしに行きました。おばあちゃんが出てきて言いました。「いつも枕元まで新聞届けてくれてありがとうね」

友達はおかしいなと思いましたが、おばあちゃんは勘違いしているのだろうと思っていました。
ある日、新聞をおばあちゃんの家に配達した時の事です。新聞を玄関の配達口に入れた後、すぐにその家に戻ってみようと思いました。

数歩歩いた後、その家に戻ってみると、新聞がちょうどスルスルっと家の中に入っていくところでした。しかし、おかしい事に気が付きました。その玄関はすりガラスになっていて、だれかが新聞を取ろうとしたら人影が映るはずなのに、人影が無いのです。不思議に思って、ふと中に入って行く新聞を両手で掴んでみました。そうすると、家の中からグッと新聞を引っ張られました。新聞の引っ張り合いになって、しばらく引っ張っていたら、いきなりフランス人形が玄関のすりガラスの内側にバンッとすごい勢いで当たるのが見えました。「ウアー！」とびっくりしてその友達は逃げました。

友達はその後その家に行くのが怖くなってしまったので、新聞配達を辞めたそうです。